高齢者の足のむくみに座ってできる体操、渡す順番と受診が先のむくみ
公開 2026-10-21|作業療法士・トロル
この記事でわかること
- 片側だけ赤く腫れて痛む、急に増えて息切れを伴う、朝になっても引かないむくみは、体操より受診が先です
- 座ったままの体操は、足首と足の指を動かす、ふくらはぎを使う、さすって休むの3段で選びます
- 回数より、同じ姿勢を続けないこと。1時間に1度のかかとの上下運動が、厚生労働省のQ&Aの例です
「夕方になると、足がむくむんです」。デイサービスや外来で、よく聞く相談です。 座って過ごす時間が長い方には、座ったままできる体操を渡したくなります。
ただ、むくみの中には体操より受診が先のものがあります。 先に確かめることと、座ったままできる体操の順番を、素材の説明と公的な資料に沿って整理しました。
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体操の前に、むくみの出方を確かめます
むくみ(浮腫)は、皮膚の下に余分な水分がたまった状態です。 重力の関係で、膝から下のすねから足先に出やすいとされています。
病気によらないむくみの原因には、長い時間同じ姿勢でいること、とくに立ちっぱなしや椅子での座りっぱなしが挙がっています。 塩分や水分の摂りすぎ、加齢、疲れも原因になります。
一方で、病気のサインになっているむくみもあります。出方で分けると、次のようになります。
| むくみの出方 | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 片側の膝から下が、赤く腫れて痛む | 深部静脈血栓症(足の深い静脈に血のかたまりができる病気)など | 体操もさするのもやめて、急いで医療機関へ |
| 急にむくみが進み、体重も増えている。息切れや呼吸の苦しさがある | 急ぐ病気の可能性がある | 一度、病院で診察を受ける |
| 朝になっても引かず、日に日にひどくなる | 原因になる病気が隠れていることがある | 原因の病気がないか確かめてもらう |
| 夕方に強く、一晩眠ると軽くなる | 病的でないむくみであることがほとんど | このあとの体操と、姿勢の工夫 |
両足にむくみが出る病気には、心臓や腎臓の病気、栄養状態の低下、甲状腺の病気などがあります。 片側だけなら、深部静脈血栓症やリンパ浮腫、けがや感染症などが挙げられています。
片側だけの腫れ・赤み・痛みは、さすらずに受診へ
座ったまま、動かす→ふくらはぎ→さすって休むの順に
座りっぱなしのむくみに渡す体操は、3段に分けると選びやすくなります。 小さな動きから始めて、最後はさすって休む流れです。
- 1段目 足首と足の指を動かす:足関節の底屈・背屈は、つま先を上げ下げする基本の運動です。膝を伸ばした足首回しは、時計回りと反時計回りを左右10回×2セット。足指のグーパーは10回×1セットが目安です
- 2段目 ふくらはぎと脚全体を使う:座位かかと上げは、つま先を床につけたまま、かかとだけをゆっくり上げ下げします。座位足踏み・腕振りは、息切れしない範囲で20〜30回が目安です
- 3段目 さすって休む:ふくらはぎのさすり上げは、足首から膝に向かってやさしく行います。お風呂上がりに10回×3セットが目安です
座位かかと上げの素材には、長時間座位によるむくみ予防に適していると書いています。 使うのは下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)です。
仰向けで行う足首の底背屈運動の説明には、膝を伸ばすと下腿三頭筋へのポンプ作用が高まる、とあります。 ふくらはぎが縮むたびに、足の静脈の血液を上へ押し返すイメージです。
座位つま先上げは、すねの前の筋肉の運動で、主な狙いはつまずき予防です。 かかと上げとの役割の違いはつまずきが気になるとき、選ぶのはつま先上げのほうですで整理しました。
回数より、同じ姿勢を続けないことが大事です
健康長寿ネットが挙げるむくみ予防のポイントは、同じ姿勢を長い時間続けないことです。 座りっぱなしの方には、1時間おきに立ち上がる運動を勧めています。
厚生労働省のQ&Aでも、足や足の指をこまめに動かすことと、1時間に1度のかかとの上下運動(20〜30回程度)が例に挙がっています。 1回にたくさんやるより、間をあけずに少しずつ入れるほうが、この考え方に合う使い方です。
テレビのコマーシャルのたびに足首を動かす。トイレから戻って座ったら、かかとを上げる。 生活の区切りに結びつけると、続けやすくなります。
休憩のときは、足を少し高めにして座るとよいとされています。 夜寝るときに足元を少し高くすると、翌朝のむくみが軽くなることが多いとも書かれています。
寝たきりに近い方は、むくみが足ではなく背中やお尻に出やすくなります。 この場合は体位交換が必要とされ、足の運動だけでは足りません。 仰向けのままできる足首の底背屈運動も、素材に入れてあります。
渡すときに添えたい3つのこと
- 片側だけ腫れてきたら連絡を:赤い、痛い、片方だけ太くなったときは、体操もさするのもやめて連絡してもらいます
- 通院中の病気があれば主治医に確認:心臓や腎臓の病気などで治療中の方は、運動の量を主治医に確かめます。座位足踏みの素材にも、心疾患や呼吸器疾患のある方は主治医に確認と書いています
- 回数は目安:痛みが出ない範囲で、反動を使わずゆっくり動かします
むくみの原因が病気なら、その治療が先です。 体操は、病的でないむくみへの工夫として渡すものだと、僕は考えています。
参考資料
- 1健康長寿ネット「浮腫」(公益財団法人長寿科学振興財団・2019年6月19日更新):むくみの原因(両側・片側・病気以外)、受診の目安、予防のポイント。
- 2厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防Q&A(一般の方々のために)」:症状と受診、予防のための足の運動の例。
参照確認日:2026年10月21日。
おわりに
足のむくみに渡す体操は、種目の多さより、どのむくみに渡すかで決まります。 片側だけ、急に、息切れを伴う。この3つに当てはまらないことを確かめてから、座ったままの3段を渡します。
1時間に1回、かかとを上げる。 それくらいの軽さで続けてもらえるのが、いちばんだと思います。
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この記事は、足のむくみに座ってできる体操の選び方を一般的に整理したものです。むくみの原因の判断は医師が行います。心臓や腎臓の病気などで治療中の方の運動は、主治医と担当の専門職の方針を優先し、回数や内容は本人の状態に合わせて担当者が判断してください。








