摂食嚥下機能回復体制加算1・2・3の違い、回復期リハ病棟で算定する要件
公開 2026-10-21|作業療法士・トロル
この記事でわかること
- 摂食機能療法に上乗せする週1回の加算。加算1が210点、加算2が190点、加算3が120点です
- 加算2はチームの体制、加算1はそれに経口摂取の回復の実績が加わります。回復期では加算3は対象外です
- 内視鏡か嚥下造影に基づく計画書、月1回以上の検査、週1回以上のカンファレンス、FIMとFOISの測定が要件です
摂食嚥下機能回復体制加算は、摂食機能療法に上乗せする加算です。 1・2・3の3つの区分があり、どれも週1回に限って算定します。
区分の違いは、チームの形と、口から食べられる状態に戻った方の実績です。 回復期リハビリテーション病棟で取れるのはどれか、算定に何がそろえばよいかを、告示と通知の文言に沿って整理しました。
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土台は摂食機能療法です。理学療法士・作業療法士が関わる部分もあります
加算の土台になるのは、H004の摂食機能療法です。 30分以上で185点、原則は1月に4回までで、治療開始日から3月以内は1日につき算定できます。
30分未満は130点です。脳卒中の方で、発症から14日以内に15分以上行った場合に限られます。 14日以内でも30分以上行えば、185点のほうを算定できます。
行うのは医師・歯科医師か、その指示を受けた言語聴覚士・看護師・准看護師・歯科衛生士・理学療法士・作業療法士です。 職種によって、摂食機能療法に含まれる範囲が分かれています。
| 職種 | 摂食機能療法に含まれるもの |
|---|---|
| 言語聴覚士・看護師・准看護師・歯科衛生士(医師又は歯科医師の指示の下) | 嚥下訓練の間接訓練(個別に行う場合に限り、口腔ケアのみは除く)、直接訓練(専ら食事介助や食事観察を行うものは除く)、摂食の際の体位設定、自助具の評価・設定 |
| 理学療法士・作業療法士(医師の指示の下) | 摂食の際の体位設定、自助具の評価・設定 |
体位設定は食べるときの姿勢を整えること、自助具の評価・設定は使いやすい食器やスプーンを選んで合わせることです。 理学療法士と作業療法士も、この2つなら摂食機能療法として関われる形になっています。
加算は、摂食機能療法の「注3」です
加算1・2・3の違いは「チーム」と「実績」です
加算2は、摂食嚥下支援チームを置いた体制の評価です。 チームは、専任の常勤医師か常勤歯科医師、専任の常勤管理栄養士、専任の常勤看護師か常勤言語聴覚士で組みます。
看護師の場合は、摂食嚥下機能障害のある患者の看護に5年以上従事し、600時間以上の研修を修了していることが条件です。 歯科医師が加わるときは、歯科衛生士も必要に応じて参加します。
加算1は、この体制に実績が加わります。 鼻腔栄養や胃瘻、中心静脈栄養を始めた方のうち、1年以内に口から食べるだけの状態に戻った方の割合が、前年に3割5分以上であることです。
数える対象は、自院で鼻腔栄養などを始めた方と、他の医療機関から紹介されて自院で摂食機能療法を行った方です。 1か月以内に戻った方や、1年以内に亡くなった方などは計算に入れません。
| 区分 | 点数 | 体制 | 実績 | 対象の患者 |
|---|---|---|---|---|
| 加算1 | 週1回 210点 | 摂食嚥下支援チーム、週1回以上のカンファレンス | 経口摂取のみに回復した割合が前年に3割5分以上 | 回復が見込まれる患者 |
| 加算2 | 週1回 190点 | 加算1と同じ | 問われない | 回復が見込まれる患者 |
| 加算3 | 週1回 120点 | 専任の常勤医師・看護師・言語聴覚士のいずれか1名以上、週1回以上のカンファレンス | 療養病棟1・2の患者で、中心静脈栄養の終了か経口摂取のみへの回復が前年に2名以上 | 療養病棟入院料1・2を算定している患者 |
回復期リハビリテーション病棟の患者は、加算3の対象になりません。 検討するのは加算1か2で、両者の差は実績の有無だけです。
算定には、検査・計画・カンファレンスの流れがそろいます
加算の対象は、チームの対応によって、食べる機能や飲み込む機能の回復が見込まれる方です。 多職種が共同して指導管理を行った場合に算定します。
- 1始めるとき:内視鏡下嚥下機能検査(鼻から細いカメラを入れて飲み込みを見る検査)か嚥下造影(造影剤を混ぜた食べ物をX線で見る検査)の結果に基づき、摂食嚥下支援計画書を作ります。計画書は患者・家族に説明して渡し、その写しをカルテなどに残します。すでに計画書がある場合は、チームによる見直しでも差し支えないとされています。
- 2続けるあいだ:月に1回以上、どちらかの検査を行います。その結果を踏まえ、計画書を見直すためのカンファレンスを、週に1回以上開きます。
- 3カンファレンスのあと:計画書、嚥下調整食(飲み込みやすく形や量を整えた食事)、摂食方法、口腔管理などを見直し、患者・家族への指導管理を行います。
あわせて、FIM(日常生活の自立の程度を測る評価法)とFOIS(口から食べられている段階を示す指標)を測定することとされています。
点数表のPDFには「週1回」の一文が見当たりません
回復期リハ病棟で別に算定できる理由と、言語聴覚士の兼務
回復期リハビリテーション病棟入院料は、多くの費用が入院料に含まれる包括の仕組みです。 それでもリハビリテーションの費用は、A308の注3で包括の外に置かれています。
例外として入院料に含まれるのは、一定の条件で1日6単位を超える疾患別リハビリテーション料の部分です。 摂食機能療法とその加算は、この例外に入っていません。 そのため、回復期でも要件を満たせば別に算定できます。
地域包括ケア病棟では、リハビリテーションにかかる費用は、原則として入院料に含まれる扱いです。 その中で別に算定できるのは、摂食機能療法だけとされています。
令和8年度の改定では、加算1・2のチームの言語聴覚士が「専従」から「専任」に変わりました。 専従はその仕事だけを行う配置、専任は主に担当しながら他の仕事も兼ねられる配置です。 疑義解釈では、チームの業務に支障がない範囲で、疾患別リハビリテーションの専従・専任の言語聴覚士を兼ねてよいとされています。
回復期で入院料と別に取れるものの全体は回復期リハ病棟で入院料と別に取れるものにまとめました。 告示と通知のページ番号は摂食嚥下機能回復体制加算のページで確認できます。
参考資料
- 1特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号):PDF p.193–195「第45の2 摂食嚥下機能回復体制加算」。チームの構成、研修、経口摂取の回復の割合、加算3の実績。
- 2診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年10月7日更新版):PDF p.509–510「H004 摂食機能療法」(1)〜(10)。職種ごとの範囲、加算の3つの要件、FIMとFOIS。
- 3令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について(令和8年4月2日事務連絡):PDF p.351 別添7。H004注3の「1人につき週1回に限り」。
- 4疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日事務連絡):問45。チームの専任の常勤言語聴覚士と、疾患別リハビリテーションの言語聴覚士の兼務。
参照確認日:2026年10月21日。
おわりに
摂食嚥下機能回復体制加算は、名前の長さほど仕組みは複雑ではありません。 土台は摂食機能療法、加算2はチーム、加算1はそこに実績。加算3は療養病棟の区分です。
理学療法士や作業療法士にとっても、食べるときの姿勢と自助具は摂食機能療法の範囲に入っています。 チームの一員でなくても、関われる場面はあるはずです。
患者さんに渡す嚥下体操のイラストは嚥下体操と口腔体操の違いで、種目ごとに整理しています。
実際の請求では、原本と地方厚生局への確認を優先してください。 個別のケースで算定できるかどうかは、この記事では判断できません。
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この記事は、厚生労働省の告示・通知・疑義解釈をもとに、リハビリ専門職の自己点検用に整理したものです。個別ケースの算定可否を判断するものではありません。実際の請求にあたっては原本を確認し、判断に迷う場合は保険者・地方厚生局への確認を優先してください。また、掲載内容は医療行為の代替となるものではありません。