腰の自主トレは、避ける動きを決めてから選びます
公開 2026-08-18|作業療法士・トロル
この記事でわかること
- 先に確認するのは屈曲・伸展・回旋の3方向。何が禁忌かは疾患と術式で変わります
- 同じ膝抱えでも、脊柱管狭窄症には向き、椎間板ヘルニアでは注意が必要です
- 仰向けで行う運動は体重が腰にかからないので、最初に渡しやすくなります
- 靴ひもを結ぶ動作など、日常の前屈を1つ変えるほうが効くこともあります
腰の自主トレは、種目を選ぶ前に決めることがあります。 やってはいけない動きの確認です。
膝や肩なら「痛くない範囲で」で足りることが多い。 でも腰は、痛くなくても避けたほうがいい動きがあります。
禁忌は3方向で考えます
素材庫には「脊椎疾患の禁忌運動」という指導者向けの1枚があります。 そこに書かれているのは、脊椎の過度な屈曲・伸展・回旋です。
大事なのは、この3つがいつでもダメという意味ではない点です。 疾患や術式によって、禁忌の内容が変わります。
この3方向は「確認する枠」であって、答えではありません
同じ運動が、疾患によって向きも不向きもあります
分かりやすい例が膝抱えです。両膝を抱えて胸に引き寄せ、15〜30秒保持します。
この運動、素材の説明では脊柱管狭窄症の症状緩和に活用できるとあります。 前かがみの姿勢で楽になる方に向いている、という理屈です。
いっぽう同じ説明の中に、椎間板ヘルニアの方は注意が必要とも書かれています。 同じ動きが、疾患によって逆の意味を持つわけです。
- キャットアンドドッグ:脊椎圧迫骨折の急性期や重度の脊柱管狭窄症では避けることとされています
- 膝抱え:脊柱管狭窄症の症状緩和に使えますが、椎間板ヘルニアでは注意が必要です
- 仰向け両膝倒し:腰や股関節に強い痛みが出る場合は、可動範囲を狭くします
★だから「腰痛の自主トレ3種セット」を作り置きして誰にでも渡す、 というやり方は腰に限っては向いていないと思っています。
比較的そろえやすいのは、動かさない運動です
ドローインは、息を吐きながらお腹を凹ませて5〜10秒保持します。 呼吸を止めないことが大切で、慣れてきたら座位や立位でも行えます。
骨盤の前後傾も仰向けで行います。腰を床に押し付けたり、反らせたり。 脊椎を大きく動かすというより、骨盤の動きを感じてもらう運動です。
この2つが渡しやすいのは、仰向けだからです。 立っているときのように、体重が腰にかかりません。
日常の動作も、一緒に見直します
自主トレを渡しても、1日のうち数分です。 残りの時間で腰に負担がかかっていると、追いつきません。
素材庫には「座位で前屈し靴ひもを結ぶ動作」という指導者向けの1枚があります。 深い前屈は腰椎の屈曲負荷が大きい、という説明が添えてあります。
この絵の値打ちは、代わりの方法まで書いてあるところです。 足を組んだ姿勢にする、ソックスエイドを使う。運動より先に効くこともあります。
この記事は医療行為の代わりにはなりません
体幹まわりのイラストは体幹の自主トレのカテゴリにまとめてあります。この記事で出てきたものは下に並べました。
おわりに
腰の自主トレを渡すのが苦手だったのは、正解が1つに決まらないからでした。 いまは順番を逆にしています。
先に「避ける方向」を確認する。次に、仰向けでできるものから渡す。 最後に日常動作を1つだけ変えてもらう。この3段なら、迷わず組めます。
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この記事は、施設内の勉強会・研修づくりの進め方について、作業療法士としての経験をもとに整理したものです。法定研修の要件を満たすことを保証するものではありません。実施が必要な研修の種類・回数・内容は、指定基準や自治体の通知を確認してください。また、掲載内容は医療行為の代替となるものではありません。






